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Canto A La Tierra
セルフライナーノーツ

 2012年9月リリースの1stアルバム。

スペインのカナリア諸島ランサローテでの録音、Pavel Urkiza氏によるプロデュース、マドリッドでのミックス・マスタリング、キューバ人のグループMás Que Son とのコラボレーションなど、なにかと話題の豊富な本作。

 人との不思議な縁はこのアルバムからのもので、パベルさんとの縁は、フェイスブックで何年振りかに繋がったランサローテ在住のぼくの友達がMás Que Sonと繋がっていて、彼らを通して友達がパベルさんと繋がっていて、Más Que Sonのメンバーの自宅に録音環境があって、たまたまその時期に7sonoraが録音の話をしていて、NANAとぼくの友達も元々顔見知りだったので、知らぬ間に話がそっちの方向へ進んで行った、という具合でした。

 また、打楽器のほぼすべてを借りたヘロさんという方はぼくがYoutubeに上げていた動画を何度も見たことがあり会う前からぼくのことを知っていた、という驚きもありました。

 制作に関しては、新たにアルバム用に書き下ろした曲は4曲でしたが、制作期間が短く、出発の1週間くらい前まで歌詞を書いてたぐらいです。

 

 制作は勿論のこと、スペインとのメールのやり取り、現地での通訳などなど本当に大変でしたが、7sonoraにとって、そして自分にとっても素晴らしい大きな経験となった録音でした。

Ven Amigo

 アップテンポの曲が無いからということで急遽追加することになり、出発の1週間前に書き上げたのが正にこの曲。

突貫工事で完成した曲のわりに出来が良く、ライブでは外せない曲のひとつとなっています。

 この曲はサンテリアのエレグアという神様がモチーフになっているのですが、この手の曲はストーリーを作り上げるのに本当に手を焼くのです。

エレグアは扉を開き、道を切り開く神様なので、この曲では曲調に沿ってその性格を前面に押し出し、ポジティブな内容に仕上げました。

 コロ・カンタの部分にSilvio Rodriguezの歌からの引用を忍ばせてあるのですが、個人的にはそのパートがお気に入りです。

Estoy Bien

 録音が決まり一番最初に書いた曲。

大切な人との別れはある日不意に訪れます。その時後悔しないで済むよう、好きな人には好きと、大切な人とは誠意をもって付き合わなければ、と思うことになるそんな出来事がぼくにもありました。

 この曲の主人公もまた、大切な人を失いその悲しみとともに年月を重ねてきた人。

ようやく泣かずにその人を思い出せる位に時間が経ったある秋の穏やかな午後、体を包むそよ風にふとその人の存在を感じ、郷愁にも似た感覚を覚えます。

主人公を気遣って訪ねてくれた最愛の人に感謝し、心の内を語りかけ、そして言った言葉。

それが『Ya Estoy Bien...

わたしはもう大丈夫。。。

Buscando un Aché

 sonoraで作詞を始めた当初、NANAと僕とであれこれ試行錯誤がありました。

今ではだいたい制作の流れは決まっていて、NANAの書いた曲に僕が歌詞を乗せるという方法がメインになっていますが、この曲はNANAの書いた日本語の歌詞の素材を僕がスペイン語に直し、それを元にNANAがメロディーを乗せるという方法を試した曲でした。

 Más Que Son のパーカッショニストTOTO(Pancho Amatのパーカッショニスト)がこのパーカッション全般を録音したんですが、パベルさんとふたりでパーカッション アレンジについて盛り上がり、あれやこれやと試してくれて出来上がった忘れがたい曲です。

Noche Serena

 10年以上前にNANAとやーそが一緒にやっていたポップスのグループで、やーそが書いた曲にNANAが日本語の歌詞を乗せた曲がオリジナル。

阪神淡路大震災の際に彼女が感じたことがテーマになっている曲で、7sonoraで演奏するに当たり、そのテーマは変えることなくスペイン語でストーリーを再構成し書き直しました。

 

 一瞬にして奪われた当たり前の日常、当たり前の幸せ。

虚無感に苛まれ、自分の存在価値とその理由を求めうつろに見上げれば新月の空。

新月の持つ浄化のエネルギーで心に広がる大きな闇を清めようと祈ります。

時は流れ、ふと見上げた空にかかる三日月。微笑みかけるように浮かぶ月を見たとき、求めていた答えを見出します。

心に痛みと悲しみを抱え歌い続けていくこと、それが定めなのだと。

自分と歌の力を信じて。

Mañana

 自分たちの予想とは裏腹に本作の中でもとくに人気のある曲で、ライブでは外せない1曲となっています。

作詞面で色々とチャレンジをした曲でもありますが、全体的にはポジティブな内容に仕上げました。

 ライブで訪れたとあるお店で、スペイン人のお客さんがとても気に入ってたよと聞いたことがあり、ものすごく嬉しかったのを覚えています。

 後半部分の『Seguiré, Cantando Voy(歌い続けて行こう)』というリフレインに『雨に唄えば』の一節を入れてあるのですが、個人的にはそこがお気に入りポイントです。

また、現地でレコーディング・エンジニアをしてくれたMás Que Son のトレス弾き、Yorielのトレスがブラジル寄りの曲にそっとキューバの風を吹かせてくれています。

Canto A La Tierra

 この曲も元々NANAが日本語の歌詞で歌っていたモノを7sonora用に少しアレンジをして、スペイン語の歌詞を追加して演奏していた曲です。

この曲と『Siempre Estarás』がパベルさんにアレンジをお願いした曲なのですが、もの凄い変身ぶりに思わず笑ってしまいました。

 この2曲に関してはスペイン語のおかしな部分はアレンジの際パベルさんが修正をしてくれているんですが、デモ音源でこの曲のスペイン語部分を修正なしでパベルさんが歌っているのを聴いた時は、色んな意味でもの凄く嬉しかったのを覚えています。

 外国人として外国語で歌詞を書く上で常に付きまとう不安なのですが、このことがあって以来スペイン語で歌詞を書いていくことに少しは自信が持てた、そんな1曲でもありました。

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